『観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来』

『観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来』

最近日本でも話題になりつつあるオーバーツーリズムについて詳しく解説した本で、とても有益な内容でした。

僕は著者の高城剛氏の10年来の大ファンで、彼の本は絶版になっている物以外ほとんど読んでいます。どの本もテーマとなっている事象の専門家に直接話を聞き、現場に出向き、著者が目にし、体験した一次情報を基に書かれています。ただし、そこからの分析が甘かったり、結論が曖昧だったりすることが少なくないように感じてはいました。

しかし本書は、使われている言葉の定義を明確にし、世界中のオーバーツーリズムが引き起こしている問題を自らの目と専門家の分析とで掘り下げ、その原因を明らかにし、今後オーバーツーリズムが引き起こすであろう問題を予測し、対策に成功した事例から具体的かつ現実的な解決策を提示しています。

10年ほど前、自分が外国に行った時に現地の人や旅人と話すと、皆「いつか絶対に日本に行ってみたい。でも日本はとても物価が高いので今は行けない。でもいつか必ず行ってみたい」と口を揃えたように言っていました。日本に興味を持ってくれている外国人はとても多く、10年経ってその機会が訪れ喜んで日本に来てくれているのだと思います。ありがたいことだと思う一方、それが引き起こす問題についても、そろそろ真剣に考えなければいけない時が来ていると感じます。

本書はあなたが今後の日本と日本人のあり方について考えるきっかけになるでしょう。